相場のピークを予想するのは難しいことです。ここ数年、金融アナリストや投資のカリスマは、市場レポートや投資番組の解説で読者や視聴者にこう警告してきました。「米国の強気相場は勢いを失っている…」1、「調整局面が先延ばしになっている…」2、そして「トランプラリーはそのうち終わるだろう」3と。

ウォール街の懐疑主義者は何年もの間、株価の暴落を警告してきましたが、皮肉なことに米国の強気相場はそれが間違っていたことを証明し続け、株価は2009年3月から約433.8%上昇しました。4

伝説の投資家、ジョージ・ソロスですらトランプラリーを見誤り、損失を出しています。ウォールストリート・ジャーナルは、2016年11月の大統領選の結果を受けた株価上昇により、ソロス氏が10億ドル近くの損失を被ったと報じています。5

トランプラリーに対する否定的な見方をよそに、事実と実績はすべてを明白に物語っていることから、ここで世界最大の株式市場に投資しないのは実にもったいないことです。米国株式市場に投資をするなら、今がその好機である理由を説明します。

 

1.米国上場株に投資することはグローバルな分散投資

米国の大手企業は、多くの投資家が考えているよりもはるかに国内依存度が低いです。2017年の”USA Today”の記事によると、S&P企業の海外売上高は全体の約半分(44.4%)を占めています。業種別には、テクノロジー、エネルギー、工業の重機メーカーなど、米国がリードする産業の多くが売上高全体の半分以上を国境を越えて稼いでいます。6米国に上場している企業の多くは、実は外国企業です。米国上場株に投資する場合、それが実際に米国へのエクスポージャーとなる割合は思ったよりも低いものになります。つまり、米国株を購入すると、グローバルな分散投資が可能になるわけです。

では、なぜ海外での売上高が投資先を考える上で重要になるかと言うと、1つには複数の収入源を持つことで、企業はより強靱な収益構造を確立できるため、米国経済が後退した場合でも、好調な海外市場で減収分を補うことができます。

モルガン・スタンレーは、「2019年グローバル市場の見通し」レポートで、新興国株式を「アンダーウェイト」から「オーバーウェイト」に2段階格上げしました。同社の予想では、2019年にMSCI EM指数は8%上昇する見込みです。先進国市場に目を向けると、同投資銀行は日本株の投資判断を「オーバーウェイト」とし、ベンチマークであるTOPIXのリターンを11%と見込んでいます。一方、米国市場の見通しについては、S&P500の上昇率を4%とみています。7

したがって、海外市場に展開している米国上場企業に投資することで、投資家は海外での収益拡大による恩恵を享受できます。しかし、米国株に投資しなければ、その機会を逃すことになってしまいます。

米国上場の大手グローバル企業をいくつか紹介します。

 

2.米国は世界最大の株式市場

以下のチャートは、世界の主要証券取引所の時価総額ランキングです。9

 

チャート1:主要証券取引所の時価総額

参考: https://www.world-exchanges.org/our-work/statistics

 

ご覧のとおり、米国は世界最大の市場です。なぜこれが重要なのかと言うと、株式市場の規模が大きければ大きいほど、大手企業や成長企業が上場先として選択しやすいからです。

前述した企業に人気が集まるのには、いくつかの理由があります。大型株企業は、質の高い商品やサービスの提供、継続的な配当金実績、安定した成長に定評があるからです。また、それらの企業は確立された業界の支配的な存在であり、それぞれのブランドはおそらく世界中の消費者に馴染みのあるものだからです。例えば、世界の小売最大手であるウォルマートWMT.UKは、2014年以降、継続的に増配をしており、44年連続で年間配当を実施しています。

株式市場の規模が大きいほど取引量が多く、資金調達がしやすいため、大手グローバル企業は米国上場を第一に考えます。また、米国の証券取引所は、上場に際しての要件と審査が非常に厳格なことで知られており、企業にとって信頼性の向上につながります。

 

3.米国株にはまだ割安な業種がある

企業の市場価値を適正に評価する方法の1つは、景気循環調整後の株価収益率(CAPEレシオ)を使用する方法です。CAPEレシオは、短期的な収益変動の平準化と長期的なインフレ調整を行い、より包括的に株価が割高・割安かを測定する指標です。

以下のチャートで見ると、2019年4月時点のS&P500のCAPEレシオは31.08倍です。

チャート2S&P500CAPEレシオ推移

参考: https://ycharts.com/indicators/pe10
米国株式市場を他国市場と比較すると、相対的に割高であることがわかります。2019年2月28日時点で、米国株式市場はCAPEレシオで3番目に割高な株式市場となっています。

 

チャート3 CAPEレシオでみる世界で最も割高な株式市場

参考: Starcapital.de/en/research/stock-market-valuation/
S&P500のPERを業種別に見ると、投資価値のある業種がいくつか散見されます。

 

チャート4 S&P500指数と業種別PER

参考: ブルームバーグ(2019年4月12日現在)

 

S&P全体のPERが18.99倍であるのに対して、それ以下の業種があることがわかります。特に、工業・エネルギー・金融セクターのPERやCAPEレシオはS&P全体よりも低く、割安な水準です。

以下の表は、米国の証券取引所に上場されている工業・エネルギー・金融セクターのETFをまとめたものです。

 

1:米国上場の工業、エネルギー、金融セクターETF

ティッカー 名称 セグメント AUM (USD) 経費率
XLI.US Industrial Select Sector SPDR ETF U.S. Industrials $10.33 B 0.13%
VIS.US Vanguard Industrials ETF U.S. Industrials $3.4 B 0.1%
XLE.US Energy Select Sector SPDR ETF U.S. Energy $14.05 B 0.13%
VDE.US Vanguard Energy ETF U.S. Energy $3.76 B 0.1%
XLF.US Financial Select Sector SPDR ETF U.S. Financials $23.89 B 0.13%
VFH.US Vanguard Financials ETF U.S. Financials $7.22 B 0.1%

参考:ブルームバーグ

 

4.米国の財政政策とFRBの金融政策

ロイターの最近の記事によると、2016年11月にトランプ氏が大統領選を制してから中間選挙の前日まで、S&Pは28%上昇しました。これは同じ期間の市場パフォーマンスとしては過去64年間のどの大統領の時よりも高い上昇率です。ちなみに、アイゼンハワー大統領時代の1952年11月から1954年11月までの間、S&Pは29%上昇しました。10

株価上昇を自分の手柄とするトランプ大統領の主張は、減税や企業向けの政策が投資家心理にプラスに働いたことを考えれば妥当と言えます。

トランプ大統領が推進した大幅な法人税減税は、企業収益を急増させ、資金力のあるテクノロジーセクターの押し上げに寄与しました。共和党は昨年、企業収益の向上を図るために、過去30年以上にわたる悲願であった大幅な税制改革法を成立させました。

議論の余地はありますが、トランプ大統領は利上げ停止の強い支持者としても知られています。昨年末、ワシントンポスト紙とのインタビューで、トランプ大統領は、自ら指名した連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が追加利上げに踏み切ったことに不満を表明しました。11

これはFRBを繰り返し批判してきたツイートでも証明されています。FRBは政府から独立した中央銀行で、その金融政策決定は大統領やその他当局者の承認を必要としないと考えられていますが、今年に入りトランプ大統領が影響力行使を強めていることは否定できません。12

トランプ大統領はFRBに対して他国の銀行規制当局と足並みを揃えた金融政策を取ることを望み、FRBはその希望を忖度したと、CNBCも報じています。大統領の「希望」に沿って、FRBが利上げを保留し続ければ、今年の米国の株価はさらに高騰する可能性があります。

 

画像123 FRBの利上げを批判するトランプ大統領のツイート

 

 

米国の金利動向やそれが金融サービスセクターに及ぼす影響を投資に活用したい方は、以下のETF一覧をご参照ください。

 

2:金融サービスセクターETF

ティッカー 名称 セグメント AUM (USD) 経費率 レバレッジ
FAZ.US Direxion Daily Financial Bear 3X shares 金融サービス $178.47 M 0.75% 3X
FAS.US Direxion Daily Financial Bull 3X shares 金融サービス $1.546 B 0.75% 3X
IYG.US IShares U.S. Financial Services ETF 金融サービス $1.397 B 0.43% NO

レバレッジ型ETFは、値動きを増幅している分、損失も拡大するため、投資を始めたばかりの方や個人投資家にはおすすめしません。また、レバレッジ型ETFは、ベンチマークとの連動を図るために行われるリバランス(ポジション調整)が利益を減少させる(損失を増幅させる)ことにもなるため、長期保有には向いていません。レバレッジ型ETFとインバース型ETFの詳細についてはこちらをご覧ください

 

 

5.大統領選挙サイクル論

大統領選挙サイクル論とは、イェール・ハーシュが提唱した理論で、米国の株式市場のパフォーマンスは新大統領が就任する大統領選の翌年が最も悪いという説です。この理論によると、任期1年目以降のパフォーマンスは、次の大統領選挙サイクルが再び始まるまで段階的に向上します。14

大統領就任1年目と2年目には、大統領は選挙モードから離れて、公約を実現しようと一生懸命に働きます。このことから選挙後の最初の年は株式相場のパフォーマンスが最も悪く、2年目もそれほど良くならないと考えられています。

任期3年目、4年目になると、大統領は選挙モードに再び戻り、再選を目指すために経済の強化に取り組みます。そのような状況で実行される政策は、減税や雇用創出といった景気刺激策です。その結果、就任3年目は任期中で最も株価の上昇率が高いことが多く、4年目は2番目にパフォーマンスが高くなります。

トランプ大統領は現在、任期3年目です。もしこの理論が正しければ、今年は最もパフォーマンスの良い年となることでしょう。なぜなら、大統領と政府は有権者を満足させようと経済の「テコ入れ」に取り組み、株価に好材料となるからです。

最後にまとめると、米国株式市場には一定の上昇余地があると見ています。これについては否定的な意見もあるでしょうが、しばらくの間は強気相場が続く可能性が大いにあります。

 

 

 
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※本ブログに掲載の情報は2019年5月30日時点で最新のものとなります。

 

参考:

 

出典:https://www.poems.com.sg/market-journal/5-reasons-why-you-should-buy-us-stocks/

 

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