既存セクターの分類

セクターとは、事業の共通点や取り扱う商品・サービスの関連性によって企業を一括りにした分類です。各セクターはさらに産業に細分化されます。例えば、ヘルスケアセクターは病院、医療機器プロバイダーなどの産業に分類され、生活必需品セクターは食品、飲料、家庭用品などに分類されます。

各セクターの業績は、それに属する産業の特質や製品・サービスに対する消費者需要の波によって左右されます。

 

以下の図は、セクターと産業の構成を説明したものです。

1 テクノロジーセクターと産業

2 ヘルスケアセクターと産業

景気サイクルに合わせてセクターごとに投資対象を切り替える投資戦略が、マクロ戦略やセクターローテーション戦略です。例えば、景気循環セクターとディフェンシブセクターの連動性が低いことを利用して、景気サイクルの局面に応じてポートフォリオを分散化させることができます。

各セクターの分類に関する詳細は、MSCIレポートをご覧ください。

 

業界の創造的破壊者

1800年代の産業革命から2000年代のインターネットブームまで、経済は絶えず再生と更新を繰り返してきました。衰退産業は淘汰され、企業は変化し続ける環境に適応を余儀なくされます。これは自然淘汰によって強い企業だけが市場で生き残れるという経済的ダーウィン主義の考え方です。

既存セクターでは急激な構造的変化が進んでいます。現在、それぞれの業界をリードする企業は、次の社会・経済現象を巻き起こす企業によってその立場を奪われる可能性がますます高まっています。

様々な産業が創造的破壊に対して何らかの脆弱性を持っています。アクセンチュア・ディスラプタビリティ・インデックスは、産業ごとに創造的破壊の現状レベルと将来的な可能性を評価する指標です。1 創造的破壊には、長期安定期、不安定期、混乱期、発展期の4つの段階があります。

3:アクセンチュア・ディスラプタビリティ・インデックス

創造的破壊の4段階

段階 概要
長期安定期
  • 効率的で成熟した産業
  • 確立されたブランドと独自のテクノロジーを所有し、流通チャネルをコントロールしている状態
  • これらの優位性が、新規の競合他社や創造的破壊者(ディスラプター)に対して参入障壁として機能します
  • 既存企業は競争上の優位性を活かして消費者需要の変化に対応し、新たな成長機会を活用できます
  • アルコール飲料、ライフサイエンスツールおよびサービスがその例です
不安定期
  • 既存企業は規制や資本要件などの高い参入障壁が存在することで恩恵を受けます
  • 既存企業に効率改善と運用コスト削減の圧力が高まります
  • 低価格化の圧力は、より低コストでより良い製品・サービスを提供できるディスラプターの出現を促します
  • 銀行、ヘルスケアディストリビューター、公益事業者がその例です
混乱期
  • 既存企業は様々な創造的破壊を経験し、短期的にさらなる破壊を受けやすい状態です
  • 維持コストの増大と硬直化により、参入障壁が維持できなくなり、従来の強みが弱みに変わります
  • 低コストかつオンデマンドでサービスを提供するディスラプター(Grab、Airbnb等)に消費者の関心が向きます
  • 運送会社、ホテル、リゾート&クルーズ旅行がその例です
発展期
  • 大規模な創造的破壊を経験して生まれ変わった企業と新興企業
  • 新たな構造的効率化や構造的変化を生み出す競争環境
  • 新たなディスラプターが次々と出現し、競争優位性は短期間で終わります
  • メディア、出版、エンターテイメントがその例です

アクセンチュア・ディスラプタビリティ・インデックスは、個別セクターや産業のリスクとリターンを評価するのに有効です。創造的破壊の少ない既存産業に資産を分散させたり、ディスラプターが提供する成長機会に投資したりする際にぜひご活用ください。

 

従来のセクター別ETF

従来のセクター別ETFは、個別銘柄を選ぶ手間をかけずに業種ごとに投資できるETFです。セクター別ETFの組み入れ基準は、通常、時価総額(株価×発行済み株式数)と対象企業の主要事業に基づき決定されます。

従来のセクター別ETFでは、企業の破産や業績低迷などの様々な理由により、構成銘柄の入れ替えが行われます。また、経済の現状を反映するように新しいセクターや産業が作られることもあります。

従来のセクター別ETFの限界

技術革新のペースが加速することは、変化し続ける消費者嗜好と相まって、セクターレベルの創造的破壊がより頻繁かつ大規模に発生することを意味します。2

従来のセクター別ETFは、業界の潜在的ディスラプターへの長期投資を検討している投資家には適していません。その理由は、従来のセクター別ETFは時価総額にウェイトを置いているので、構成銘柄は既に時価総額が大きくなった銘柄だからです。そのため、ETF投資に踏み切るのは、どちらかと言えば過去および現在の経済動向に乗って既に投資を成功させている企業が多いと言えます。

「技術のSカーブ」を使って説明すると、ディスラプターが生み出すイノベーションは失敗するリスクもありますが、既存企業の成熟したテクノロジーよりも成長する伸びしろは大きくなります。

 

図4:Sカーブ(オレンジ色の線)とロジャースの普及曲線(ベルカーブ)

業界のディスラプター:テーマETF

構造的変化が現れ始めると、ディスラプターが業界をリードする既存企業を打ち負かすことがあります。このような時、従来のセクター別ETFでは構成銘柄が既存の大企業から新たな市場リーダーに入れ替えられるのを待たなければなりませんが、テーマ型ETFならマクロレベルのトレンドの波にすぐに乗ることができます。

テーマ型ETFは、革新的技術を開発する企業や将来の消費者トレンドを担う企業といった特定のテーマに特化した企業を独自の組み入れルールに基づき算出した指数を使って選定します。

従来のセクター別ETFは、社会・経済の変化をテーマにした投資には不向きです。

セクターと潜在的ディスラプター

ドイツの統計調査会社スタティスタによる以下のグラフは、2025年までに破壊的テクノロジーがもたらす経済的インパクトを予測したものです。IoT(モノのインターネット)産業の経済的インパクトは、2025年までに年間11.1兆ドルに達すると予想されています。3

 

図5:破壊的テクノロジーの2025年における経済的インパクト

以下は、業界の潜在的破壊者とそれをテーマにしたETFの例です。

6:一般消費財セクターと潜在的ディスラプター

ETF Amplify Online Retails ETF Global X E-Commerce ETF Principal Millennials Index ETF Global X Millennials Thematic ETF
ティッカー IBUY EBIZ GENY MILN
取引所 NASDAQ NASDAQ NASDAQ NASDAQ
AUM (US$) 251.68 million 2.62 million 20.20 million 49.74 million
経費率 0.65% 0.68% 0.45% 0.50%
銘柄数 40 40 103 82
トップ3銘柄
  • Copart Inc.
  • Shutterfly Inc.
  • Chegg Inc.
  • Shopify Inc. Class A
  • MercadoLibre Inc.
  • Wayfair Inc. Class A
  • adidas AG
  • Fast Retailing Co Ltd
  • Discover Financial Services
  • Walt Disney Co.
  • Starbucks Corp
  • PayPal Holdings Inc.


7:エネルギーセクターと潜在的ディスラプター 

ETF Global X Lithium and Battery Tech ETF Invesco Solar ETF
ティッカー LIT TAN
取引所 AMEX AMEX
AUM (US$) 498.56 million 320.20 million
経費率 0.75% 0.70%
銘柄数 47 22
トップ3銘柄
  • Albemarle Corp
  • Sociedad Quimica Y Minera De Chile SA ADR
  • BYD Co Ltd Class H
  • First Solar Inc.
  • SolarEdge Technologies Inc.
  • Enphase Energy Inc.


図8:テクノロジーセクターと潜在的ディスラプター
 

ETF Global X Internet of Things ETF VanEck Vectors Semiconductor ETF First Trust Cloud Computing ETF Global X Cloud Computing ETF
ティッカー SNSR SMH SKYY CLOU
取引所 NASDAQ AMEX NASDAQ AMEX
AUM (US$) 84.62 million 1.1 billion 2.18 billion 351.31 million
経費率 0.68% 0.35% 0.60% 0.68%
銘柄数 54 25 28 38
トップ3銘柄
  • Garmin Ltd
  • Dexcom Inc.
  • Cypress Semiconductor Corp
  • IntelCorp
  • Taiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd
  • Qualcomm Inc.
  • Zynga inc.
  • Netflix Inc.
  • VMware Inc.
  • Anaplan Inc.
  • Shopify Inc. Class A
  • Coupa Software Inc.


上記記載のETFに関する情報は2019611日時点のものです。

 

ETFスクリーナー

ETFスクリーナーの検索ボックスからテーマに合わせたETFを検索することができます。

 

9ETFスクリーナーの検索ボックス

 

おわりに

技術の進歩、人口動態や社会の変化は、今後の社会経済の構造的変革をもたらす原動力です。新しいメガトレンドは、古いテーマが衰退することで生まれます。業界のディスラプターが持つ潜在的成長性に投資することを検討している投資家には、古いテーマから新しいテーマに乗り換えることがテーマ投資戦略になるかもしれません。

テーマ型ETFは、投資家が求めるテーマ投資を実現する最適な投資手段です。テーマ投資を成功させるためには、セクター別ETFの構成銘柄が入れ替わるのを待つよりも、将来的なトレンドを担う企業を特定し、トレンドがメインストリームになる前に早めに買いをいれておくことです。

つまり、テーマ型ETFが未来を形作るイノベーションへの投資を実現する一番の近道になるかもしれません。

 

 

 
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参考:

出典:https://www.poems.com.sg/market-journal/disrupting-sectors-with-thematic-etfs/

 

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