昨年は、2008年の金融危機以来最悪のパフォーマンスを記録した年でした。ダウ平均株価、S&P500、NASDAQはそれぞれ5.6%、6.2%、4%下落しました。1 今年に入ってからも米中貿易戦争や不透明感が漂う英国のEU離脱が重荷となり、投資家は先行きに警戒感を示しています。

こうした市場の先行きが不確実な時には「守り」の投資に切り替えて、投資元本を失うリスクをできるだけ小さくすることが良いかもしれません。そのためには、ポートフォリオにおける債券や現金など安定的な資産クラスの比率を高めることに加えて、ディフェンシブセクターへの投資がおすすめです。

 

景気循環セクター vs. ディフェンシブセクター

ディフェンシブセクターについて説明する前に、景気循環セクターとディフェンシブセクターの違いについて触れておきたいと思います。金融用語では、営業形態、商品、サービスなど共通する特徴で分類した業種のことを「セクター」といいます。

景気循環セクターは景気に敏感に反応し、収益変動性と営業レバレッジ(固定費)が高い業種のことです。景気循環セクターの商品やサービスは、一般的に高価で日常生活に直結しないものが多く、経済が停滞しているときに購入が控えられます。その典型的な例が自動車セクターです。多くの消費者は景気が悪い時に車の購入を控えるため、メーカーの収益は低下することになります。

一方、ディフェンシブセクターは、安定的な需要を見込める商品やサービスを提供する業種です。食品メーカーやスーパー、薬局などの生活用品店は、収益が景気サイクルに左右されにくいディフェンシブセクターの典型例です。景気の悪化により消費者の収入が減ったとしても、食料品や医薬品の支出が大幅に減少することはあまりありません。

 

景気循環セクターとディフェンシブセクターの例

景気循環セクター ディフェンシブセクター
・ 一般消費財
・ 素材
・ テクノロジー
・ 工業
・ 金融
・ 通信サービス
・ 生活必需品
・ 公益事業
・ ヘルスケア
・ エネルギー

 

セクター別の分類に関する詳細はこちらをご覧ください。

 

1:セクターローテーション戦略

ETF

景気サイクルに合わせて投資対象のセクターを切り替えるのは単純なことのように思えますが、セクターごとに個別銘柄を探し出すとなると大変な作業です。上場投資信託(ETF)なら個別銘柄を選ぶ手間がかからず、手軽にセクター別投資を始められる便利な方法です。

また、ETFの場合、複数の銘柄に分散投資できるので、集中投資リスクや価格変動リスクを抑えることもできます。

ETFスクリーナーを使って目的に応じたETFを探してみてください。様々な条件を指定して検索することが可能です。

 

2:ETFスクリーナー

では、今年の不安定な相場に強いディフェンシブセクターはどれでしょうか?

ヘルスケア

ヘルスケアセクターはボラティリティの高い相場を乗り切っただけでなく、昨年のS&P500業種別上昇率で6.5%を記録し見事1位に輝きました。世界の医療支出は、2022年までに10兆ドルに達すると見込まれており、世界的な高齢化と臨床技術の進歩に伴い、ヘルスケア産業は2018年から2020年までに5.4%の年間成長率を達成すると推定されています。

ETF ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド バンガード・ヘルスケアETF フィデリティMSCIヘルスケアETF
ティッカー XLV VHT FHLC
設定日 1998年12月16日 2004年1月26日 2013年10月21日
運用資産残高(10億ドル) 19.58 9.27 1.66
経費率 0.13% 0.10% 0.08%
組入銘柄数 64 384 356
組入上位3銘柄 – Johnson & Johnson
– UnitedHealth Group Inc
– Pfizer Inc
– Johnson & Johnson
– Pfizer Inc
– UnitedHealth Group Inc
– Johnson & Johnson
– UnitedHealth Group Inc
– Pfizer Inc

公益事業

昨年は株価が乱高下するなか、公益事業セクターは徐々に脚光を浴びてきました。2016年以降は人気が下火となり、S&P500の業種別パフォーマンスで他のセクターと比べて全体的に見劣りしていた公益事業セクターですが、下落相場においてはこれまでS&P500を上回る成績を上げています。例えば、2018年10月31日の公益事業セクターの平均利回り(4%)はS&P500の他のすべてのセクターを上回っており、株式市場の時価総額がおよそ2兆ドル失われた昨年10月以後、公益事業セクターはプラスに転じています。5

公益事業業界は、より洗練された顧客サービスの提供と業務効率向上を図るために新技術の導入を進めており、2019年と2020年の設備投資を引き続き拡大させる見込みです。6

また、水・ガス・電気などのライフラインは、景気サイクルに左右されない、日常生活から切り離すことのできない必要不可欠なサービスです。

ETF 公益事業セレクト・セクターSPDRファンド バンガード公益事業ETF フィデリティMSCI公益事業ETF
ティッカー XLU VPU FUTYC
設定日 1998年12月16日 2004年1月26日 2013年10月21日
運用資産残高(10億ドル) 9.38 3.15 0.601
経費率 0.13% 0.10% 0.084%
組入銘柄数 28 69 67
組入上位3銘柄 – NextEra Energy Inc
– Duke Energy Corp
– Dominion Energy Inc
– NextEra Energy Inc
– Duke Energy Corp
– Dominion Energy Inc
– NextEra Energy Inc
– Duke Energy Corp
– Dominion Energy Inc

生活必需品

生活必需品は、食品、飲料、タバコ、日用品などの生活物資のことです。家計の状況にかかわらず、生活費の中から削ることができない(または削りたくない)物やサービスです。生活必需品セクターは、市場のボラティリティが高い時や景気後退局面での資金の安全な避難先として考えられています。

そのため、米中貿易戦争のような地政学的緊張や政治不安が高まると、投資家の資金は一時的な避難先である生活必需品セクターに流れ込み、景気改善とともに他のセクターに移動します。

ETF 生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド バンガード生活必需品ETF フィデリティMSCI生活必需品ETF
ティッカー XLP VDC FSTA
設定日 1998年12月16日 2004年1月26日 2013年10月21日
運用資産残高(10億ドル) 10.00 4.43 0.432
経費率 0.13% 0.10% 0.08%
組入銘柄数 34 93 94
組入上位3銘柄 – Procter & Gamble Co
– Coca-Cola Co
– PepsiCo Inc
– Procter & Gamble Co
– Coca-Cola Co
– PepsiCo Inc
– Procter & Gamble Co
– Coca-Cola Co
– PepsiCo Inc

上記は2019220日時点の情報です。

 

おわりに

昨年は株価が急落したかと思うと、翌日に一気に値を戻す浮き沈みの激しい相場でした。不安定な相場は多くの投資家の気力を萎えさせますが、だからといって、今年は株式投資をすべて控えるということにはつながらないはずです。

ディフェンシブセクターは下落相場での緩衝材の役目を果たすとともに、基準価額の上昇による利益確保の機会を提供する魅力的な選択肢です。

過去の実績は将来の結果を保証するものではありませんが、景気後退の局面ではディフェンシブセクターが景気循環セクターをアウトパフォームする傾向が見られます。また、ディフェンシブセクターは下落相場で必ずしも上昇するわけではないものの、景気サイクルに敏感な景気循環セクターと比べて底堅い値動きを見せます。

ディフェンシブセクターETFは、市場のボラティリティが高い時や景気後退局面でポートフォリオの重要な安定装置として機能するので、景気サイクルに合わせたセクターローテーション戦略の投資ツールとして活用することをおすすめします。

 

参照:

 

 

 
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出典: https://www.poems.com.sg/market-journal/three-defensive-sectors-for-a-volatile-2019/

 

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