以前に掲載したグローバル分散投資ガイドの記事で、多くの投資家が自国市場中心の投資に偏っていることを解説しました。これとは別に、投資家の多くは以前に聞いたことがある、または頭に思い浮かびやすい銘柄だけに投資しがちになる「可用性バイアス(Availability Bias)」も持っていることが明らかになっています。このようなバイアスはグローバルな分散投資を妨げる障壁となり、投資家のポートフォリオを自国株中心の資産運用に偏らせてしまいます。

2019年上半期の主要市場(米国、欧州、香港、中国)は、米中貿易摩擦に投資家が振り回される不安定な相場展開でした。そうした中で、投資家は貿易摩擦の嵐に巻き込まれない市場を求めています。経済大国がたとえ貿易戦争に突き進んでも、あまり影響を受けない市場。それが今回ご紹介するカナダの株式市場です。今回の記事では、カナダの株式市場における投資機会を探りながら、注目すべきセクターをいくつかご紹介します。

 

人口データ

米国の北部に位置するカナダは、世界2位の国土面積(約998万km2)を持つ広大な国ですが、人口が3,600万人と少ないため、世界有数の人口密度の低い国となっています。人口のほぼ3分の1は、カナダの主要都市であるトロント、モントリオール、バンクーバーの3都市に集中しています。他の先進国と同様、カナダでも少子高齢化が進んでおり、自然増による人口増加は全体的な人口増加数の3分の1未満に低下しています。カナダ政府の積極的な移民政策により、カナダの人口増加は移民により支えられています。1

図1に示すように、人口の自然増は将来的にゼロに低下することが予想されています。移民の受け入れは今後の人口増加の重要な推進力であり、移民がもたらす技術、経験、資金が経済成長を下支えすることが期待されています。
図1:カナダの人口増加

経済的背景

世界トップ10に数えられる経済大国であるカナダの経済規模は、GDPが1.7兆ドル(2018年)、実質GDP成長率が1.8%(2017年)、国民一人当たりのGDPが46,261ドル(2018年)にのぼります。国際通貨基金(IMF)によると、2019年の予想GDP成長率は1.5%になる見通しです。2

図2に示すように、2016年初頭を除き、実質GDP成長率は2〜4%の間で比較的安定して推移しており、失業率はほぼ2%未満を維持しています。このデータから、ほぼ完全雇用が実現されていることと、経済が安定していることが分かります。

 

図2:実質GDP成長率と失業率の推移

広大な国土と少ない人口に加えて、カナダは国土の大部分が森林で覆われており、世界3位の埋蔵量(推定価値33.2兆ドル)を誇る資源国となっています。3 経済の面では常に米国経済と密接に結びついており、輸出の70%、輸入の60%が米国向けです。ただし、米国が最大の貿易相手国であっても、両国の経済活動は大きく異なります。4

カナダは鉱物と農産物の輸出が特に高く、農業、鉱業、石油産業がカナダ経済の主要産業となっています。農産物、鉱物、エネルギーが輸出のほぼ半分を占め、機械、自動車、その他製品が35%を占めています。4 これらのセクターをポートフォリオに組み入れることで、保有銘柄の業種を分散化させリスクヘッジを行うことができます。

 

図3:カナダの輸出品(2017年)

出典:wits.worldbank.sg

 

通貨

カナダの公式通貨であるカナダドル(CAD)は、米ドル、ユーロ、円、ポンドに次いで世界で5番目に保有されている準備通貨です。5 経済的にも米国とカナダは密接な関係にあることから、カナダドルは米ドルの動きに影響を受ける傾向にあります。以下の図は、米ドル /カナダドル、シンガポールドル/カナダドルの価格推移を表しています。

 

図4:USD / CAD 10年チャート

出典:ブルームバーグ

 

図5:CAD / SGD 10年チャート

出典:ブルームバーグ

 

カナダには、通貨の強さに支えられた安全で健全な銀行システムがあります。中央銀行であるカナダ銀行は、インフレターゲットによる金融政策を採用し、インフレを低く保ちつつ、通貨価値の安定を維持しています。下図に示すように、カナダの外貨準備高は年々順調に増加しています。

 

図6:カナダの外貨準備高

出典:ブルームバーグ

 

カナダ株への投資をお考えの方は、フィリップキャピタルを通じて、TMXグループが運営するトロント証券取引所(TSX)とTSXベンチャー証券取引所(TSXV)の上場銘柄を取引することができます!TMXグループは、上場企業3000社以上、時価総額2兆ドル以上の規模を誇る世界第9位の証券取引所を運営しています。カナダの証券取引所が世界に類を見ない独自性を持つ点は、鉱業、大麻、石油・ガス関連企業が世界のどこよりも多く上場されていることです。6

カナダ株式市場の約95%の銘柄で構成されるS&Pトロント総合指数は、カナダ株式市場のほぼ全体の株価を指数化した指標です。個別銘柄でなく、カナダ株式市場への投資をお考えの方は、iShares S&P/TSX 60インデックスETF(XIU.CN)をご検討ください。同ETFは世界初のETFとして知られており、S&P/TSX 60インデックスと連動するカナダ最大のETFです。

 

表1:iShares S&P/TSX 60 Index ETF

ティッカー 名称 時価総額(100万CAD) 価格(CAD) 30日間 ADV* P/E P/B
XIU ISHARES S&P/TSX 60 INDEX ETF 8696 24.54 12m N/A N/A

出典:ブルームバーグ

 

それでは、カナダ株式市場を特徴付ける3つのセクターを紹介します。

 

世界をリードする鉱物産出国

豊富な天然資源に恵まれたカナダは、亜鉛、ウラン、ニッケル、アルミ、鉄鋼、石炭、鉛など鉱物の輸出で世界をリードしており、それらは主に米国に輸出されています。こうした鉱物は様々な製品の生産に使用されることから、製造業に欠かせない原料となっています。カナダの鉱業セクターへの投資に興味のある方は、以下の銘柄をご検討ください。

 

表2:鉱業銘柄

ティッカー 名称 時価総額(100万CAD) 価格(CAD) 30日間 ADV* P/E P/B
TECK/B Tech Resources 16893 29.87 2.3m 7.87 0.73
CCO Cameco Corp 5469 13.79 1.4m 43.13 1.1
FM First Quantum Minerals 8520 12.35 7.5m 13.82 0.68

出典:ブルームバーグ

 

従来の金投資の代替手段

工業用鉱物とともに、金はカナダの主要輸出品です。金はまた、ポートフォリオのリスクヘッジ手段としても広く使われています。金に投資するには、現物、先物、金ETF、金採掘会社の株の購入など様々な方法がありますが、それらに限らず貴金属ロイヤルティ会社を通じて金に投資する方法もあります。貴金属ロイヤルティ会社は、金鉱山の開発資金を提供する代わりに、生産に漕ぎ着けた際には生産した金を予め決められた割合で受け取ることができます。ロイヤルティの回収は金の需給関係が続く限り継続するので、貴金属ロイヤルティ会社は長期的に利益を得ることができます。一方のリスクは、開発のために初期投資がかかる点です。以下に貴金属ロイヤルティ会社をいくつかご紹介します。

 

表3:貴金属ロイヤルティ企業

ティッカー 名称 時価総額(100万CAD) 価格(CAD) 30日間 ADV* P/E P/B
FNV Franco-Nevada Corp 20739 110.79 814,722 68.7 3.34
SSL Sandstorm Gold 1349 7.52 993.391 223.47 1.81

出典:ブルームバーグ

 

世界有数のエネルギー輸出国

豊富な鉱物資源のほかに、カナダが持つもう1つ貴重な資源が石油です。カナダは世界原油埋蔵量の13%を有し、ベネズエラ、サウジアラビアに次ぐ世界3位の原油埋蔵国として、先進国では有数のエネルギー輸出国となっています。カナダは産油国としての役割を今後さらに強化する意向です。カナダの石油関連株に投資することを検討されている方に、以下の4銘柄をご紹介します。5

 

表4:カナダ石油銘柄

ティッカー 名称 時価総額(100万CAD) 価格(CAD) 30日間 ADV* P/E P/B
SU Suncor Energy 65494 41.63 5.9m 16.92 1.48
CNQ Canadian Natural Res 44216 36.83 6.2m 15.52 1.37
IMO Imperial Oil 27989 36.6 1.3m 13.98 1.16
ENB Enbridge 92984 45.94 8.5m 16.52 1.48

出典:ブルームバーグ

 

大麻市場の成長可能性

カナダでは、2018年に娯楽目的の大麻(マリファナ)の使用・所持が合法化されました。大麻の使用は現在でも主に医療目的ですが、娯楽目的での使用が合法化されたことにより、産業としての成長が後押しされ、大麻市場の飛躍的な拡大が見込まれています。さらに、米国など大麻合法化に舵を切る国々への大麻輸出が将来的に可能になると、大麻産業は更なる成長が期待されます。世界の大麻市場の規模は、2025年までに663億ドルに成長すると推定されており、市場規模(2018年=138億ドル)は年23.9%の成長率で拡大する見込みです。

大麻株への投資に興味のある方は、Canopy Growth(WEED.CN)、Aurora Cannabis(ACB.CN)、Aphria Inc(APHA.CN)などの銘柄をご検討ください。個別の大麻銘柄ではなく、大麻産業への投資に興味のある方は、大麻産業を投資対象とするETFをご検討ください。Horizon Marijuana Life Sciences Index ETF(HMMJ.CN)は、大麻関連企業で構成されるバスケットへのエクスポージャーを提供するETFです。7

 

表5:大麻銘柄とETF

ティッカー 名称 時価総額(100万CAD) 価格(CAD) 30日間 ADV* P/E P/B
HMMJ Horizon Marijuana Life Sciences Index ETF 823 18.04 424,905 N/A N/A
WEED Canopy Growth 17805 51.52 2.7m N/A 2.5
ACB Aurora Cannabis 9887 9.74 9.8m N/A 2.26
APHA Aphria Inc 2299 9.16 4.4m N/A 1.36

出典:ブルームバーグ

 

カナダの天然資源セクターと大麻セクターは投資家にとって魅力的な投資機会ですが、これらはカナダ株式市場が提供する多様な投資機会のほんの一部に過ぎません。表6のバリュー別出来高上位銘柄から分かるように、多くの有名企業もカナダの株式市場に上場しています。

 

表6:バリュー別出来高上位銘柄

ティッカー 名称 時価総額(100万CAD) 価格(CAD) 30日間 ADV* P/E P/B
RY Royal Bank of Canada 148858 103.67 3.6m 11.94 1.95
CNR Canadian National Railway 86266 119.31 1.6m 21.21 4.92
TRI Thomson Reuters 42151 84.15 822,712 209.72 3.59
BBD/B Bombardier Inc 5339 2.19 15m N/A N/A

出典:ブルームバーグ

 

ご興味がございましたら、カナダ株への投資をぜひご検討ください。手数料や取引方法など、カナダ株取引に関する詳細は下記をご覧ください。

https://globalmarkets.poems.com.sg/markets-we-offer/canada-tsx/

 

 

 
いかがでしたか?

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本記事に記載の情報は2019年7月25日時点で最新のものです。

参考:

 

出典:https://www.poems.com.sg/market-journal/why-invest-in-canada/

 

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